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「名前のないブランド」デザイナー 小野智海さん

2016.10.26

「名前のないブランド」デザイナー 小野智海さん

パリのメゾンブランド「マルタンマルジェラ」のパタンナーを手掛け、哲学的な独自の信念で洋服を作られる「名前のないブランド」。MEETSCALSTOREで今シーズンからの展開スタートにあわせて、ファッションやブランド、テーマなどのブランドにまつわる背景を聞きに、図書館のように本に囲まれたデザイナー小野氏のアトリエにお伺いをしました。

——今シーズンのテーマを教えてください。

小野今シーズンは、秋冬で「秋冬」っていうのがまあテーマなんですけど(笑)、前回が春夏で「春夏」っていうテーマだったので。コレクションのなかには赤い色をいつも入れるんですけれど、あるときふと思ったのが、カミーユ・コローっていう19世紀の風景画家がいるんですけれども、赤い色を使うのは、そのコローの絵の影響がどっかにあるんだって気づいて。それで今回は、色味とかをコローの1つの絵に合わせて作ったんですね。

——コローの絵を表現するにあたって、気にかけたことは?

小野テキスタイルというよりも、色味ですよね。それと、コローの絵というのは、画面の中にちっちゃな赤い点が打ってあって、絵にはすごい透明な空気感があるというか。コローは追憶的な画家という風に言われるんですけれども、ある種、秋のノスタルジックな空気感というか、そういうものがあるというか。それは春の風景を描いていても、どっかに秋の空気を持っているっていうことです。コローがおもしろいのは、コロー自身が春から夏にスケッチして、秋から冬にかけてそれを描くっていうことをしていたみたいで、それがひとつ、どっか秋らしさみたいなものを画面に与えているのかもしれないですね。
あとはもうひとつ、絵画っていうもの自体はある種、過去の瞬間なわけじゃないですか。そのある過去の瞬間に対して、赤い点というのは現在的な動きのある色というか。そこで赤い点を打つことによって、過去のある瞬間である画面に、過去へと向かう時間軸ができるというか。そういったものが、ある種のノスタルジーというか、追憶的な時間を作り出していくのかなと。
なので、ある種の追憶的な時間みたいなものをコレクションのなかに取り込んでいく、ということもしていますね。それはコレクションのなかに別の時間軸を作るということで、たとえば1957年のバレンシアガのサックドレスっていう有名なドレスがあるんですけれど、そこから展開したワンピースを作ったりとか、まったく別の過去の時間軸というのをコレクションの中に入れています。なぜバレンシアガかというのは個人的なもので、ぼく自身が習っていた立体裁断の先生が、バレンシアガが生きていたときのバレンシアガにいた人で、そういうこともあって、バレンシアガのドレスから展開した時間軸みたいなものを適用しています。
だから素材的なものというよりも、どちらかというと色ですね。それとある種、そういった概念的なものは考えていますね。あとは作り方として、常にいろいろな着想を混ぜていくということをするので、ひとつの大きなテーマというのは普段あんまり決めないんです。今回はまあ「秋冬」というのがありますが。そういうものを、たとえば反復したりということもありますね。

——特に影響を受けている画家、アーティスト、作家などはいますか?

小野影響を受けるっていうのは…あらゆるものから影響を受けるので。どういうか難しいんですけれど、自分自身が習っていた先生であったり、彫刻家の川島清さんとか、そういった方には何かしらの影響を受けていますね。あるいはそれ以外の友だちであったり、見たものであったり。あらゆるものから影響を受けています。

——好きな画家や作家はいますか?

小野いろいろいます。最近読んでいるのはトマス・ピンチョンですかね。あとはジョルジュ・バタイユとか。そういったところに興味はありますね。ピンチョンで好きなのは、『スロー・ラーナー』、『競売ナンバー49の叫び』ですか。すごく読みやすく読みにくいというか、ひとつひとつの言葉とかにすごく奥行きとかがあるので、それを汲み取りながら読もうとすると、ものすごい時間がかかる。そういうものは、僕自身がすごく興味のあるものではありますね。それぞれのものにある物語みたいなものに深く関わらせていくようなものの作り方というか。そういったところにすごく興味はあります。

——それは小野さんの服の作り方に似たところがありますか?

小野ある服があったとして、その服って、まったく新しいということはないじゃないですか。まあ新しさが何かっていう問題はありますけれど。なんかその形ってどこかにあるものでもあって、そこには背景的な歴史がある。そういったものをどう関わらせていくか、ということには興味がありますね。あるディテールがある時代を表しているということ、ある形に既に物語が付着しているということ、それらを繊細に見ながら服を作っていきたいと思いますね。

——『ブランドの名前がないこと』や『黒いバー』を表記モチーフにしているのはなぜですか?

小野学生の頃読んでいたメルロ=ポンティの中に、「沈黙」みたいな概念が出てくるんですけれど、「沈黙」というのが何かというと、物体的なもの、簡単にいえば肉体的にある主体というか。たとえば暗闇には何もないようで、そこで目をつぶるだけでも、何も見えなくなるというわけではなくて、何かイメージが見える。それは自分の中で想起するイメージみたいなもの。たとえば無響室ってありますよね、音が反響しない部屋。それって、音が反響しないから静かだと思うじゃないですか。実際うるさいんですよ。なぜかっていうと、自分の身体の音が聞こえるから。
そういう風な、まったく何もないというのではなくて、なにかが生成されるような場所。名前がない、黒いバーで表されているっていうのは、そこに何かイメージが生成されるような、そういうものであってほしい、そしてそれは、ある特定の示された言葉やイメージではなくて、というのはありますね。そういったものの感覚を共有できれば、おもしろいなと。

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